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年会費無料、からの自動更新された話(有期契約労働者の無期転換)

5月中旬。

クレジットカードの引き落としについてのハガキが届きました。

普段利用しているものではなく、私も妻も全く身に覚えがありません。

 

コールセンターにでも問合せてみようと思っていたときに、隣にいた娘が着ていた服を見て全てを思い出しました。

 

昨年、家族で神戸に遊びに出た際、当日でも使える2,000円分の優待クーポンをプレゼントするとクレジットカードの勧誘がありました。

さらに、入会後1年間は年会費が無料であったり、提携している飲食店等で優待特典を受けることができたりするというのです。以後の年会費は一定額以上を利用すると翌年分が無料になるので負担はありません・・・とのこと。

普段は面倒くささが優先して勧められても申し込んだりはしないのですが、この時は子どもの服や少し先の夏休みに向けた買い物をするつもりだったので申し込みました。

当時は、気に入ったものを買うことができ非常に満足することができたんですが・・・

 

時が経過しすっかり使うこともなくなったカードは財布の中で埋没しています。

年会費の引き落としのハガキが届いた時には、もう「時すでに遅し」です。

あれ程満足していた申し込み特典も、後悔を招いた忌々しいものでしかありません。

 

継続して使うつもりがないのであれば、覚えているうちに対応すべきでした。

このようなクレジットカードだけの話ではなく、同様の事(期限が来る前に行動すべきである)はよくあります。

 

 

平成25年4月1日労働契約法が改正・施行されています。

ここでの大きな改正点のひとつが「無期契約労働への転換」です。

 

「無期契約労働への転換」とは、同一の使用者との間で、有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されるというものです。

 

「無期契約労働への転換」には次のようなポイントが挙げられます。

1.平成25年4月1日以降の労働契約が対象

有期契約労働者が契約更新を繰り返し、通算5年を経過していても、平成25年4月1日以前の契約は通算の対象とはなりません。

早ければ、来年の平成30年4月には通算5年目を迎えることとなります。

 

2.同一使用者との契約

通算5年を超えて契約をしてきた使用者との間で、現在、有期労働契約を締結していることが要件です。

派遣社員の場合は、派遣元の企業に無期転換への対応が求められます。

 

3.契約更新回数が1回以上

契約更新が1回以上行われていることが無期転換申込権発生の要件となります。

 

4.従前の有期労働契約と同一になる

無期労働契約の労働条件は、別段の定めがない限り、従前の有期労働契約と同一になります。

無期転換時に、職務内容が変更されていないにもかかわらず、転換後の労働条件を低下させることは、NGです。

 

5.無期転換権の放棄の禁止

無期転換を申し込まないことを契約更新の条件とする等、あらかじめ労働者に無期転換申込権を放棄させることはできません。

 

6.クーリング期間

有期労働契約とその次の有期労働契約の間に、契約がない期間が6ヶ月以上あるときは、その空白期間より前の有期労働契約は通算契約期間に含めません。

 

7.高度専門職と継続雇用の高齢者に関する特例

次のように特例が設けられています。

①高度専門的知識等を有する有期契約労働者

②定年後に有期労働契約で継続雇用される高齢者

について、雇用管理に関する措置を作成し、労働局長の認定を受けると、無期転換ルールが適用されません。

会社としては、特に②の継続雇用される高齢者について注意が必要です。

 

以上が「無期契約労働への転換」の主なポイントとなります。

 

既に「無期契約労働への転換」についてご存知の会社も多いとは思います。

しかし、何も対応せずにいると、思わぬ影響が生じるかもしれません。

 

考えるべきことは、雇用している有期契約労働者の現状を把握し、今後どのように活用してくつもりであるのかということです。

これからも働き続けて欲しいのか、場合によっては契約期間満了での退職があるのか・・・

 

いずれにせよ事前に想定できることは想定しておき、それに向けての準備をすべきです。長期に渡って働いてもらいたいと考えているのであれば積極的に正社員登用や無期転換の実施をすべきでしょうし、あくまでも短期的な位置付けで考えているのであればそれに向けての動きを取らなければなりません。

 

 

平成30年4月まで1年を切っています。

あなたの会社では、有期契約労働者の活用をどうお考えですか?

その考えに向けて準備できていますか?

そもそも「無期契約労働への転換」について十分に把握できていますか?

 

 

社会保険労務士 秋野 高大

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