【割増賃金】割増賃金から除外できる住宅手当とは??

皆さん、こんにちは!
社会保険労務士法人カオスの宇城です。
ここ最近は、人手不足による採用強化の影響もあって、福利厚生関係の相談が増えてきております。
特にそのなかでも借り上げ社宅や住宅手当のご相談をいただくことが多いです。
そこで今回は、「住宅手当は割増賃金の計算から除くことができるのか?」ということについて、書いてみようと思います。
割増賃金の計算について、以下の賃金は計算から除外することができると言われております。
(労働基準法施行規則第21条)
・家族手当
・通勤手当
・別居手当
・子女教育手当
・住宅手当
・臨時に支払われた賃金
・1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金
住宅手当はこれら除外できる賃金の一つとして挙げられていることから、住宅手当を割増賃金の計算に入れていない会社が多いように思われます。
しかしながら、住宅手当という名称がつけば無条件に割増賃金から除外できるかというと・・・
答えは否となります。
住宅手当については、
以下に該当する性質がないと割増賃金の計算から除外することができません。
通達(平成11.3.31 基発170号)
〔具体的範囲〕
イ 割増賃金の基礎から除外される住宅手当とは、住宅に要する費用に応じて算定される手当をいうものであり、手当の名称の如何を問わず実質によって取り扱うこと。
ロ 住宅に要する費用とは、賃貸住宅については、居住に必要な住宅(これに付随する設備等を含む。以下同じ。)の賃借のために必要な費用、持家については、居住に必要な住宅の購入、管理等のために必要な費用をいうものであること。
ハ 費用に応じた算定とは、費用に定率を乗じた額とすることや、費用を段階的に区分し費用が増えるにしたがって額を多くすることをいうものであること。
ニ 住宅に要する費用以外の費用に応じて算定される手当や、住宅に要する費用にかかわらず一律に定額で支給される手当は、本条の住宅手当に当たらないものであること。
〔具体例〕
イ 本条の住宅手当に当たる例
(イ) 住宅に要する費用に定率を乗じた額を支給することとされているもの。例えば、賃貸住宅居住者には家賃の一定割合、持家居住者にはローン月額の一定割合を支給することとされているもの。
(ロ) 住宅に要する費用を段階的に区分し、費用が増えるにしたがって額を多くして支給することとされているもの。例えば、家賃月額5~10万円の者には2万円、家賃月額10万円を超える者に3万円を支給することとされているようなもの。
ロ 本条の住宅手当に当たらない例
(イ) 住宅の形態ごとに一律に定額で支給の。例えば、賃貸住宅居住者には2万円、持家居住者には1万円を支給することとされているようなもの。
(ロ) 住宅以外の要素に応じて定率または定額で支給することとされているもの。例えば、扶養家族がある者には2万円、扶養家族がない者には1万円を支給することとされているようなもの。
(ハ) 全員に一律に定額で支給されていることとされているもの。
上記通達にあるような賃貸住宅居住者には一律2万円の住宅手当を支給するといった規定をよく見かけます。
このような取り扱いは割増賃金の計算から除外することはできないことから、
労基署の調査でもよく指導事項に挙げられることがあるため気を付けておきたいところです。
住宅手当の取り扱いについて、いまいちどご確認いただければと思います。