【最低賃金】R7年度地域別最低賃金額の目安公表と最低賃金額の確認方法

みなさんこんにちは。
社会保険労務士法人カオスの宇城です。
お盆も明けて、仕事モードに切り替えですね。
さて今回は、令和7年8月4日の厚生労働省のプレスリリースより、「令和7年度地域別最低賃金額改定の目安について」と題して、各都道府県の最低賃金引上げ額の目安が公表されました。
当該目安額をもとに最終的に各都道府県の労働局長が最低賃金額を決定することになります。
ただ、例年ここでの目安額と決定した最低賃金額が大きく変わることはないため(前年の徳島県の引き上げはイレギュラーでしたが・・・)、今のうちから、最低賃金額を下回る従業員さんがいないかシミュレーションしてもよいかもしれません。
そこで今回はあらためて、最低賃金の確認方法について見てみましょう。
時間給制や日給制、歩合給制と支払い形態ごとに確認方法があるのですが、今回は月給制の最低賃金計算方法について取り上げてみたいと思います。
※その他の支払い形態の最低賃金確認方法も知りたいという方は以下参照
月給制の場合、以下の算出式により1時間当たりの単価を算出し、最低賃金額を上回るかどうかを確認します。
月給÷1ヶ月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
〈月給とは?〉
以下の賃金を除いた月ごとに支給される賃金を指します。
【最低賃金の対象とならない賃金】
(1)臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
(2)1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
(3)所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
(4)所定労働日以外の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
(5)午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
(6)精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
残業代や通勤手当は除くことになります。
また、家族手当や精皆勤手当も含みません。
たまに「家族手当や精皆勤手当を除いたら最低賃金額を下回っていました。」といった事例もあるのでご注意ください。
〈1ヶ月平均所定労働時間とは?〉
以下の算出式で求めることが多いです。
365日-年間の所定休日日数
=年間の所定労働日数
年間の所定労働日数×1日の所定労働時間÷12ヶ月
=1ヶ月平均所定労働時間
では実際に計算してみましょう。
〈例〉
基本給235,000円、精皆勤手当8,000円、家族手当20,000円、通勤手当15,000円
年間所定休日120日、1日の所定労働時間が8時間の場合
①1ヶ月平均所定労働時間を算出
365日-120日
=245日(年間所定労働日数)
245日×8時間(1日の所定労働時間)÷12ヶ月
=163.33時間(1ヶ月平均所定労働時間)
②最低賃金額の計算に用いる月給を確認
精皆勤手当、家族手当、通勤手当は除かれます。
そのため、当該例では基本給235,000円のみを用いることになります。
③1時間あたりの賃金を算出
235,000円(基本給)÷163.33時間(1ヶ月平均所定労働時間)
=1438.80・・・円 → 1,439円(最低賃金額の確認に用いる時給単価)
おまけ
割増賃金の時給単価算出と最低賃金額の時給単価算出は除外賃金に違いがあるため、時給単価が変わる可能性があることに注意が必要です。
※詳細は以下、ブログより確認
【割増賃金】割増賃金から除外できる住宅手当とは?? | 社会保険労務士法人カオス
前記例をもとに割増賃金の単価を求めてみましょう
①1ヶ月平均所定労働時間を算出
最低賃金額で算出した1ヶ月平均所定労働時間と考え方は同じです。
そのため1ヶ月平均所定労働時間は163.33時間となります。
②割増賃金の計算に用いる月給を確認
最低賃金の算出では精皆勤手当を除くことになるのですが、割増賃金の算出にあたっては精皆勤手当を除くことはできません。(家族手当と通勤手当を除くことは可)
そのため、割増賃金の算出で用いる賃金は基本給235,000円と精皆勤手当8,000円を用いることになります。
③1時間あたりの賃金を算出
{235,000円(基本給)+8,000円(精皆勤手当)}÷163.33時間(1ヶ月平均所定労働時間)
=1487.78・・・円→1,488円(割増賃金額の計算に用いる時給単価)
なんと!!時給単価が上がりました。
最低賃金額では精皆勤手当を除いてよいから、割増賃金額の計算においても除外してしまうと割増賃金の未払いとなってしまうためご注意ください。