同じことを○回言わなければ、人には伝わらない!?
先日、ある雑誌を読んでいると、気になる記事がありました。
「平均的な人が、きちんと話を聞くようになるまで、同じ事を8回、聞かないといけない」
最近の研究で分かったそうです。
「ご飯をこぼさないように、よそ見をしないで食べなさい!」
「遊んだおもちゃはすぐに片付けなさい!」
我が家でも、5歳になる娘によく注意をします。
その度に「何回言ってもできてない。」とさらに注意を重ねてしまっています・・・
会社と従業員の間でも同じことが言えます。
皆さまの会社ではどうでしょうか?
従業員に対して「前にも言ったよな?何度も言わせるな!!」と思う(言う)ことはないですか?
さらには「言わんでもそれくらい分かるやろ?空気を読め!考えろ!」と思って(言って)ないですか?
「他人に、こちらの意見をきちんと理解させるには、同じことを8回言わないといけない。」という研究結果から、意見を伝える側に行動や忍耐が求められるのが分かります。
しばしば発生する労使間トラブルは、多くの場合、相互の認識に差があることから引き起こされます。
弊社でも労使トラブルのご相談をよく受けます。
そのトラブルの原因を探っていくと、以下の状況であることが多いように思います。
①雇用契約書を作成していない
②就業規則を作成していない
③作成はしているけれど、作ったまま放置している(実態とは乖離した内容となっている)
つまり、権利や義務が不明確なまま、従業員が働いているということです。
言い換えると、どういった手当がどういった理由で支給され、どういった事をすると懲罰を受けるか等が分からずに働かざるを得ない状況にいるということです。
当然、社長が従業員にあってほしい姿や取ってほしい行動も伝わっていません。
「空気が読める」のはとても大事なことです。
しかし、何もせずに黙って「空気を読んでくれる」のを待つのでは、いつまでたっても社長の望む従業員にはなりません。
会社の理念・考え方を就業規則「前文」に、従業員の行為規範を「服務規律」に、これをすると懲罰されますを「懲戒」に・・・
それぞれをきちんと就業規則等に規定することで、どちらかの一方的な思いや考えではなく、会社と従業員の双方が同じ認識を持つことができます。
それこそが、労使トラブルを回避する第一歩になるのです。
雇用契約書や就業規則は、単に会社を締め付けものではありません。
相互の権利と義務の明示と共通化、そのために作成するものです。
一度お考えください。
今の会社のルール、従業員に伝える行動をとっていますか?
今の会社のルール、従業員にきちんと伝わっていますか?
今の会社のルール、本当に共通のルールになっていますか?
社会保険労務士 秋野 高大