何か起こりそうな予感(「36協定」出してる!?)
3月の3連休の中日、三田のアウトレットに家族で遊びに行きました。
とても天気がよく、セールをしている店もあったようで、駐車場に入場するのにも時間がかかる程多くのお客さんで賑わっていました。
長い時間かかって車を停められたのは、建物からかなり離れた奥の方にある駐車場で、その中でも端の端でした。
春の陽気と駐車場からの歩行で、建物に入るまでにもう汗だくです。
しかし、それは序章に過ぎず、もう一つの戦場が待っていました・・・
それは、食事の時間に訪れます。
そう、「フードコートでの席取り」です。
駐車場に入場する以上に苦戦します。
車は1台分のスペースを探せばいいですが、食事をする席は4名分必要です。
なかなか席が空かないうえに、食べ終わって離席しそうな人を見つけても、2名掛けの席であったりで、なかなか席を確保できません。
同じような状況に陥っている家族連れがうろうろしています。
20分程かかってやっとのことで席を確保できました。
疲労困憊で食事を注文しに店に並ぶ気力が湧きません。各店も行列しています。
しばらく休憩していると、20代後半くらいのカップルが僕らの席の周りでうろうろしています。
彼らは比較的に早いタイミングで席を確保することができたようです。
早い段階で席を確保できたカップルは、すぐに店に食事の注文をしに向かいました。
2人ともが席を離れるので、席をキープしている目印となるものを置いていきます。
「たたまれたエコバック」・・・
これからどうなるのか何となく分かります。
もう嫌な予感しかできません。
はい、予想通りの展開になりました。
カップルがたたまれたエコバックを置いて席を離れてしばらくすると、2人組のおばあちゃんが食事を持って席に着きました(席を確保する前に食事の注文をしていたようです)。
両手で食事のトレーを持ち、おしゃべりしながら席を探していたおばちゃん達には、たたまれて小さくなったエコバックなんて目に入りません。
さらにお連れのおばあちゃん2名が加わり、机の中央に置かれていたエコバックは、無残にも机の端に追いやられています。
カップルが戻ってきた時には、もう時は既に遅しです・・・おばあちゃん達の勢いに勝てず、すごすごと別の席を探すことになりました。
経営者と人事労務に関する話をしているとこれと同じような感覚を覚えることがあります。
経営者としては危ないという認識を持っていないようですが、我々から見るとトラブルの火種になりそうだということがしばしばあります。
労働基準法 第32条に以下のとおり法定労働時間が定められています。
「使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
二 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、
労働させてはならない。」
原則の考え方は、これらの法定労働時間を1分たりとも超えて従業員を働かせることはできません。
つまり、基本的に残業はNGということです。
ここで登場するのが「時間外労働 休日労働 に関する協定届(いわゆる36協定)」です。
上述の通り、従業員を働かすことができる時間(法定労働時間)は労基法によって定められています。
これを超えて働かせると労基法違反になり、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。
しかし、この36協定を所管の労働基準監督署に提出することで、免罰効果を得ることができます。
つまり、残業を従業員にさせても、労基法違反として罪には問われなくなるということです。
もちろん36協定の提出で時間外労働に関する免罰効果を得ることはできますが、上限なしに残業をさせることができるわけではありません。
1ヶ月に45時間、1年に360時間までというところが基本的な上限になります。
最近の「時間外労働の上限規制」についての報道もあってか、36協定についての認知度や関心は高いです。
36協定の話をすると、「36協定提出してるよ。会社を創ったときに出したから。」という答えが返ってきます。
ここで、例の感覚を覚えることがあります。
36協定は一度労基へ届け出ればよいのではありません。
36協定の有効期間は最長でも1年間とすることが望ましいと通達が出されおり、それに合わせて36協定を作成していると思われます。
会社設立時に出したきり、以後提出していないということは、現状として法定労働時間を超えて働かせることが全くできないということです。
労基法違反で処罰の対象となります。
相応の結果を得るためには、然るべき行動が求められます。
フードコートの席取りであれば笑い話になりますが、法違反となればそうはいきません。
然るべき行動・・・とれていますか?
相応の結果・・・得ることができていますか?
社会保険労務士 秋野 高大