よくあるご質問(雇用保険料率の変更時期)
4月に入り、ニュースで桜の開花に関する報道を耳にする機会が増え、通勤中には新入社員と思われるサラリーマンを見かけることが増えました。
4月は変化の月です。
国民年金保険料の増額、住民税非課税世帯への給付型奨学金制度の開始、エコカー減税の対象基準の変更、自賠責保険の保険料の値下げ、雇用保険料率の変更・・・我々の暮らしに関係する制度などが種々変化します。
また、働き方改革の一環として在宅勤務(テレワーク)制度を開始するなど、企業においても変化していく様子が大きく報道されています。
顧問先や取引先から社会保険や労務に関する様々なご質問を頂戴します。
この時期によく受けるご質問に「雇用保険料率の変更のタイミングはいつなのか?」というものがあります。
今年度の保険料率と共に、以下解説いたします。
1.平成29年度 雇用保険料率
3月31日、ようやく平成29年度の雇用保険料率が発表になりました。
平成29年4月から平成30年3月までの率が以下のように変更になります。
事業の種類 |
雇用保険料率(①+②) |
||
①労働者負担 | ②事業主負担 | ||
一般の事業 | 3/1000 | 6/1000 | 9/1000 |
農林水産
清酒製造の事業 |
4/1000 | 7/1000 | 11/1000 |
建設の事業 | 4/1000 | 8/1000 | 12/1000 |
平成29年度の雇用保険料率は、労働者負担・事業主負担ともに1/1000ずつ引き下げられました。
なお、労災保険料率については、平成28年度と同率です。
労災保険料率は、原則3年ごとに見直されます。次回の変更は、平成30年度の予定です。
2.雇用保険料率の変更時期の取扱い
雇用保険料率を変更する時期には注意が必要です。
雇用保険の従業員負担分の保険料控除は、賃金締切日を基準として取り扱うことが原則となっています。
つまり、賃金締切日がいつなのかというところで変更する時期が異なります。
例えば、以下のように取り扱います。
<20日締、25日払の場合>
3月20日締、3月25日払 ⇒ 平成28年度の保険料率
4月20日締、4月25日払 ⇒ 平成29年度の保険料率
<20日締、翌月5日払の場合>
3月20日締、4月5日払 ⇒ 平成28年度の保険料率
4月20日締、5月5日払 ⇒ 平成29年度の保険料率
雇用保険は、厚生年金保険や健康保険などの社会保険料率を変更するタイミングとは異なります。
(ちなみに、社会保険料は、加入している月に対して徴収されます。お問い合わせやご質問がたくさんあれば、後日、解説をブログ掲載いたします。)
給与計算などの業務の際には、十分ご注意ください。
社会保険労務士 秋野 高大